星空を君に(飛蔵ミニ小説)

間に合わなかったーーーー!

一度やってみたかった季節モノ。
まず手始めに七夕だ!!
と思っていたのに…。
間に合わせることが出来ず…。
(そもそもド素人のクセに一日でお話しを作ろうと思うことが間違い)

止めようかなと思ったけど…。
せっかく作ったので…。
記録がてら載せてみます。
なんかいろいろ間違えてそうだけど…。そして誰かとカブってそうだけど…;
笑って許して下さい。




【星空を君に】



「あ~ぁ…残念…。」
月曜日の朝、身支度を整えていた蔵馬が窓の外を見上げ、ぽそっと呟いた。
「何がだ。」
恋人の独り言を聞き逃さなかった飛影がベッドに入ったまま肩肘を立てて蔵馬に問い掛ける。
月曜日の慌ただしさなど無縁の妖怪である飛影はまだ裸のまま。
「ん?今日は七夕なんですよ。前に話したでしょう?」
「あぁ人間界の昔話か…。」

恋にうつつを抜かして神の怒りを買い、大河を挟んで引き裂かれた男女。
そして悲しみに暮れる二人を憐れに思った神に許された、年に一度だけの逢瀬。
以前蔵馬から聞いた恋物語だ。

馬鹿な二人がいたものだと飛影は思った。

そんなに悲しいなら言い付けなど無視して会いに行けば良いのに。大河が何だというのだ。
しかも会えるのは年に一度、晴れた日。
そんな日を待ちわびるくらいなら、何年かかろうが激流にも負けない船でも作れば良いのに…と。
それとも年に一度だけで満足する程度の想いなのか。


そんな馬鹿で根性なしの男と、そんな男に惚れた馬鹿な女は、今年はどうやら会えないらしい。


「この天気じゃあ星は見えそうにないから残念だなぁって。せっかく貴方がお休みでいてくれるのに。」
「星が出てようが出てなかろうが関係ないだろう。俺がいることに変わりはない。」
残念そうにする蔵馬に飛影は呆れたように返す。
「気分の問題ですよ。せっかく七夕に貴方がいるんですから、星が見えた方がロマンチックじゃないですか。」
妖怪のくせに相変わらず人間の、それも女のような事を言う奴だと本気で呆れたが、それも自分との時間を楽しみにしているが故だと飛影は思い直し、これ以上は何も言わないことにした。

「ま、飛影がいるならそれで良いんですけど♪
今日は母さんもデートでいないし、ご馳走作りますから、楽しみにしててくださいね。」

楽しみにしててと言いつつ、本人が一番楽しんでいる様子の蔵馬。
「判ったから、さっさとガッコウへ行け。」
溜め息混じりに言い放つ飛影に「はぁーい」と笑顔で返し「あ、飛影、いい加減服を着てください」と付け加え蔵馬は部屋を出て行った。

「ちっ…」
一人になった部屋でわざとらしく舌打ちをした飛影は、それでも素直に服を着ると蔵馬が帰ってくるまで適当に時間を潰すべく部屋を出て行った。
もちろん、窓から。





夕方、買い物袋を片手に蔵馬は学校から帰宅した。
雨ではないものの、空は相変わらずの曇天。玄関を開ける前、蔵馬は朝のようにちょっぴり残念そうに空を見上げた。


「飛影、ただいま。」
妖気で飛影が部屋に居ることを確認した蔵馬は、部屋のドアを開けながら声を掛ける。

飛影は何時ものように窓辺に腰を掛けていた。
飛影が「おかえり」なんて言わないのも何時もの事。
でも。

何時もと違うことが…。


彼は瞳を閉じ、少し顔を上げて何かを探っている。
その額には第三の瞳が開かれ、邪眼師特有の妖気を放っていた。

…何をしてるんだろう…。

気にはなったが、何やら真剣な顔をしている飛影に声を掛けるなんて事はせず、手早く着替えると蔵馬は約束した『ご馳走』を作りにキッチンへと向かった。



二時間後。
食事の準備を終えた蔵馬はエプロンを外して椅子に掛けると自室へと向かった。

「飛影~食事の準備が出来ました…」
そう言いながらドアを開けた蔵馬。
その視界に入ってきた愛しい恋人の姿は…

先程と全く変わらないものだった。

飛影は尚も窓辺に座り邪眼を開いたまま何かを探っている。

…いくらなんでもあんまりじゃないだろうか…。
俺といるのに、約束していたのに、俺以外のモノを見ているなんて…。

「飛影?」
蔵馬は少し声のトーンを落として呼び掛けた。
…返事はない。
「飛影?聞こえてますよね?」
再度呼び掛ける。…が、返事はない。
「何を見てるんですか?」
返事はない。
「俺より大事なものですか?」
………返事は、ない。

「~~~~っもう良いです!!」
蔵馬がそう叫んだ直後…

「きた!!!」
突然叫びながら深紅の瞳を見開き立ち上がる飛影。
「?!」
と、同時に蔵馬を抱え窓から飛び出した。

なになになになに???;

蔵馬を脇に抱えたまま物凄いスピードで夜の空を駆けていく飛影。
そのあまりのスピードと突然の出来事に蔵馬はらしくもなくパニックになり、何も言うことができずただ運ばれていた。



どれくらい飛んでいるのだろう…。
抱えられている居心地の悪さやスピードにも慣れ、落ち着きを取り戻してはいたが、いきなりこんなことをされた怒りより呆れと疑問の方が大きく、蔵馬は何も言わず飛影にされるがままに大人しく抱えられていた。
「?!」
突如、身体がフワッと浮いた感覚が蔵馬を襲う。飛影が急降下したのだ。

やれやれ…。
やっと真意が聞けそうだな…。


もはやここが何処なのかも蔵馬には判らない、どこかの山の中へと降りていく。
大木の枝に一度乗り、飛影は地面に降り立ち、蔵馬を立たせた。
乱暴に連れてこられた割には優しい扱いだ。
でも、
「で?一体何なんですか?料理…冷めちゃいましたよ。」
嫌味の一つは言っておきたい。
何せこっちは靴すら履いてないのだ。


だが、飛影はそんな蔵馬を見て楽しそうに笑っている。
怪訝な顔をする蔵馬に、
「上。」
飛影は空を指差し仰ぐ。

「あ…」
「俺と、見たかったんだろう?」

蔵馬が見上げると、そこにはポッカリ空いた雲の隙間から星空が覗いていた。
満天とまではいかないが、天の川、そしてアルタイルとベガも確かに見えている。

「ずっと…探してくれてたの?」
先程までの憤りはどこへやら…蔵馬はあまりの嬉しさに声が震えていた。

「今日はこの国は何処もかしこも雨らしいな。雲が晴れる場所を探すのに手間取った。」

きっと飛影は太陽が沈んでからずっと邪眼で探してくれていたのだろう。
あの家から飛んで行ける距離一帯をくまなく。
僅かに雲が晴れるその時を待って。

長時間邪眼で広範囲を覗くのは相当の集中力がいる。
蔵馬の問い掛けに答えられなかったのも無理はない。

「飛影…有難う…。すごく、嬉しい…。」
最高の笑顔と共に蔵馬から出た感謝の言葉。

「あぁ…。お前とあの馬鹿な夫婦を見届けるのも悪くないと思ってな。」

飛影らしい理由に蔵馬は楽しそうに笑いながら腰を下ろす。
「では、しばらくここで見届けますか…。ご飯は冷めてしまいますが。」
そんな蔵馬を満足そうに見ながら飛影も蔵馬の隣に座った。



二人で草むらに座り夜空を仰ぐ。
「俺ね…」
星空を眺めながら蔵馬がポツリと話し始めた。

「この七夕の物語、貴方の言うとおり、馬鹿な二人だなぁって思うんですけど…気持ちは判るんですよね。」
「何がだ。」
突然何を言い出すのか…飛影は溜め息と共に返す。

「愛しい人と一年離れ離れになる辛さと、一年振りに会える嬉しさは。」
俺も…そうだった…。

魔界で一年、対立する国でそれぞれ過ごしたことを思い出し、蔵馬の瞳に僅かに憂いの色が浮かぶ。

「だから雨だとほんの少し可哀想に思うんですよね。あの二人はさらに一年会えないのか…って。だからこうして星空を見れて嬉しいです。きっと、会えてる…。
俺も馬鹿みたいでしょ?人間の作った物語にこんなふうに感情移入して。」

「蔵馬」
蔵馬の話しに耳を傾けていた飛影が、それを遮るように呼び掛けた。
こんな顔を見る為に連れてきたんじゃない。
ただ、喜ぶ顔が見たかったのに。

「俺はあの男みたいに手に入れたものを手放すようなバカじゃないぞ。」

あの離れていた時間、確かに半ばやけになった。躯がいなければきっと死を選んだことも事実。
だが。
やっとずっと欲しかったものが手に入ったのだ。みすみす手放すような馬鹿な真似はしない。まして年に一度などで満足などするものか。
だからこそ、こうした休みを貰うために、あの女の怒りを買わないために、あんな面倒臭いパトロールなんてものを真面目にしているのだ。

「あの二人はその現状に満足してるんだろう。可哀想などと思う必要などない。俺には考えられんがな。」

すっぱりと言い切る飛影を、蔵馬は瞳をぱちくりとさせて見詰めていた。


え~と…。
これは…俺が不安に思ってると…気遣ってくれているのかな?
…参ったな…。
そんなつもりじゃなかったんだけど…。
本当に、嬉しいのに。

むしろ、今幸せだからこそ、あの二人も会えてると良いな…なんて柄にもない事を思っているのに。


「だから余計な事を考えずにヘラヘラ喜んでろ。何の為に今日休みを取ったと…。」
「え?」

しまった…。
口を滑らせた…。

「飛影…七夕だからお休み取ってくれたの?」
「……;」


そう、飛影は今日この七夕に合わせて休みを申請した。蔵馬に7月7日は恋人が逢瀬する日だと聞いていたからだ。別に飛影にとってそんな人間界の昔話などどうでもいいが、『恋人同士が会う日』に、蔵馬に自分以外の奴と過ごして欲しくなかったのだ。


そんな飛影の気持ちは、
蔵馬にも伝わってしまって…。



飛影…。
七夕なんて全然気にしてないかと思ってた…。
今朝だって関心無さそうにしてたし…。
それに…休み希望出すと躯に俺との事をからかわれるからって…嫌そうだったのに。

七夕は恋人同士が会う日だと俺が言ったから…?

どうしよう…。顔が…熱い…。


「え…っと……。ありがと…。すごく、嬉しいです。」
「……。」

夜で良かった。月も出てなくて良かった。
妖怪の二人に闇など関係ないが、それでも。

真っ赤になって破顔しているお互いの顔を曝されなくて済む。


光輝く恋人達の星の下、赤い顔で寄り添い合う二匹の妖怪。


くそっ!!
貴様らなんぞ年に一度でも過ぎるくらいだ!!

飛影は、今頃自分達と同じように寄り添っているであろう天空の二人に、赤い顔のまま毒づいた。

end






長々とすみません…。
『蔵馬さんの為に晴れてる場所を探す飛影』を書きたいなぁと、昨日の朝、雨が降っているのを見て思ったのです。


私も七夕に晴れた夜空を見てみたい。(なんか七夕っていっっっつも天気悪いんだよな~;)


来年は晴れることを、そしてもう少し上達した七夕話が書けていることを願う(笑)






拍手有難うございます~!(*^^*)
あなた様の拍手が私の原動力です!!





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プロフィール

舞彩

Author:舞彩
名前/舞彩(マイ)
生年月日/19××年2月3日
出身地/一番人口の少ない県
趣味/飛蔵(蔵飛も少々)のお絵描きやお話し作り。カラオケ。冬限定で編み物。ダイエット(悲しすぎる趣味)
好きなモノ/飛影と蔵馬!!
チョコレート。和菓子。メロンパン。カフェオレ。紅茶。通販雑誌(見るだけってやつ)
嫌いなモノ/カメムシ(殺虫剤で死なない恐ろしい虫!)、カエル、シイタケ、グリーンピース
幽白歴/約22年。昔と変わらず(それ以上?)今もこの作品、そして飛影と蔵馬を愛しています!

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