「先輩」

五月ですね♪

オンリーまで一ヶ月ちょい。
風薫るどころか暑いとさえ思うこんな時期に、いまさらバレンタインとホワイトデーネタです(=ω=;)

以前バレンタインのお話しを載せた際に「女の子蔵馬ちゃんのバレンタインも読みたい」とリクエストを頂いておりました。
あれから二ヶ月半…。
やっと出来ました。

もぅ…小説ってホントに難しい!!!

一週間で一行しか進まないとか…もう…
改めて己の語学力の無さを痛感しました。


それでもどうにか完成させることが出来てホッとしております。

少しでも楽しんで読んでいただけますように…(*˘︶˘*).。.:*♡




拍手コメントの御返事は後程させて頂きます( *´﹀` *)







『先輩』

道場からの帰り道…少し奥に入った通りにある雑貨店。
何度か店の前を通ったことはあるが、飛影がこの店に実際に入るのは初めてだった。

店内はやけにキラキラして騒がしい。
色鮮やかなアクセサリーや可愛らしい雑貨や人形、やたらとヒラヒラした服などがところ狭しと置かれている。
居心地が悪そうに飛影は雪菜の後ろに立っていた。

「兄さん。ほら、ボーッとしてないで。選ぶのはあくまで兄さんよ。」

「…判ってる…。」

蔵馬へのホワイトデーのお返し。一体どこで何を買ったら良いのか判らず、たまらず飛影は雪菜に相談をした。
そこで連れてこられたのがこの女の子感満載の店だった。
蔵馬も好みそうな店ではあるが、一人では到底入れなかったであろう。

自分はあくまで付き添いできた…そう言わんばかりに雪菜の後ろにピッタリ張り付いて店内を見回した。

ふと、目に留まった、一つのアクセサリー。
赤く輝くそれはガラス製の薔薇のモチーフがキラキラ輝いて綺麗で…
「…。」
思わず足を進め手に取る。

思い浮かぶのはもちろん、唯一人。

「いらっしゃいませ。こちら、素敵でしょ?作家さんの手作りで一点ものなんですよ。」
突然声を掛けてきた店員。
明らかに彼女へのプレゼントを探しているのであろう学生を微笑ましく思っているのか、やたらとニコニコしている。
そんな店員の隣にいることがやけに気恥ずかしく、助けを求めるように目線を雪菜に向けた。

兄の視線に気付いた雪菜。
さすが双子といったところなのだろう、飛影が愛想の良い店員に戸惑っていることを即座に察知し近付く。

その兄の手には薔薇のアクセサリー。
何を思い手に取ったのかは一目瞭然で。

自分の兄にしては良いものを選んだと思い、
「へぇ~可愛いじゃない。ペンダントにもなるし…クリップも付いてるからブローチにもなって。」
素直に称賛の言葉を述べた。

「でしょう?帽子やバッグに付けても可愛いですよ♪」
そしてすかさず入る店員のオススメの言葉。

「じゃ、これにする。」

「有難うございます~♪」

二人の女性に後押しされ、蔵馬へのプレゼントは意外にもあっさり決まった。
決して適当に選んだ訳ではなく、本当に蔵馬に似合うと思って手に取ったのだが、飛影は胸を撫で下ろした。
こんな店は自分にはあまりにも不釣り合いで居心地が悪い事この上ない。
一分でも早く店を出たかった。

そんな気持ちがレジまで向かう足を早める。

その途中、あるものが再び飛影の目に留まる。
一刻も早く出たかったはずなのに、飛影は足を止めそれを見詰めた。

(これ、確か…。)

「そちらもお買い上げになりますか?」
それに気付いた店員も立ち止まり、声をかける。

「それ?ちょっと子供っぽくない?」
後ろからひょっこり顔を出した雪菜にそう言われるも、
「良い。これも買う。」
飛影は手に取り店員に渡した。


ラッピングされる二つの贈り物を眺め、飛影は中学時代の事を思い返していた。



三年越しになったな…。
あいつは…気にしないって言うだろうが…。




*********

その日は朝から青空が広がり、今後の環境は大丈夫なのかと心配になるほど心地のいい陽気だった。

「飛影!今日は裏庭か?」

昼休憩、席を立った飛影にからかうように幽助が問いかけた。
飛影の反応は、いつも通り。

一睨み利かせ、無言で教室を出ていった。
「南野によろしくな~」
そんな飛影の背中にさらに投げ掛けるその言葉もいつもの事。


アイツのからかいにも慣れたな…。


苦笑いしつつ裏庭へと向かった。


渡り廊下を横切り、校舎裏へ。
角を曲がると、花壇の前にしゃがみこんで薔薇を見詰める、いつもの蔵馬の姿があった。

行く度に目にするその光景に、酷く落ち着く自分がいた。

「あ!先輩!!こんにちは。」
嬉しそうに振り返る、蔵馬の顔にも。


返事を返さずベンチに向かうのもいつもの事。
腰を掛けると、蔵馬がゆっくりと近付いてきた。

「あの、先輩…これ…。」

差し出されたのは小さな可愛い紙の手提げ袋。
問い掛けるように視線を蔵馬の顔に向ける。

「あ、の…。バレンタインの…チョコレートです…。」

時期的にそういったものだとは理解できるが…。
少し驚いた。
何故なら…

「まだ先だろ…。」

そう。今はまだ二月の始め。
バレンタインではないのだ。

「はい、判ってますけど…教室まで持っていくのはご迷惑かと思って。
バレンタイン当日に先輩が来てくださるかどうかも判らないので。」


過ぎてしまうよりは早目に、そういうことか…と飛影はこの行動を理解した。

理解はしたが…。

「いらん。」
蔵馬を見詰めたままきっぱりと言い放った。

「そう、ですか…。」


一瞬、泣くのかと思った。
それくらい、瞳が陰り、揺らいだのだ。

それは酷く儚げで、綺麗で…


飛影は思わず目を逸らした。



蔵馬はそれ以上何も言わなかった。
手にしていた紙袋を隠すようにしてベンチに座り、何事も無かったように可愛い笑顔を飛影に向け、優しく、穏やかに語り始める。

そして、時折り返す飛影の短い返事にもそれは嬉しそうに。

その変わらない様子に幾分ホッとしながらも、先程の僅かに陰った蔵馬の顔が頭から離れてはくれず。

脇に置かれた紙袋がやけに目についた。






「あの、これ…。」

三日後、飛影が裏庭へ行くと、蔵馬がまたあの紙袋を手渡してきた。

「しつこくてごめんなさい。」
ほんの少し悲しげに微笑み紙袋を少し上げて差し出す。

「いらん。と、言ったはずだ。」
今度はすぐに目を逸らした。
あの顔を見たくなくて。

「そうですか…。すみません。」

別に悪いことをしてるわけでもないのに申し訳なさそうに謝る蔵馬。
僅かながらの罪悪感を感じながら、飛影はベンチに進み腰を掛けた。

次いで蔵馬も。


紙袋を前回のように飛影とは反対側の脇に置き話し始める。


花壇の花の事。
薔薇の種類や花言葉。
ぼたんやコエンマの事。

蔵馬の話すことはいつも飛影にとってはどうでも良い話ばかり。
でも不思議と嫌だとは思わなかった。


ただ、それが何故なのか考えてしまう事がたまらなく嫌だった。






それから飛影は裏庭へ行くことを躊躇うようになった。

またあのやりとりを繰り返すのかと思うと気が重かったのだ。


教室の自分の席で、幽助の話を聞きながら窓の外を見る。

今日も晴天。
蔵馬はきっと裏庭にいる。

あの紙袋を持って。
薔薇を見詰め、自分を待っている。



アイツが勝手にしてることだ。
俺は受け取らないと言ったはずだ。
罪悪感など…感じる必要はない。

雨でも降っていれば、裏庭にいるアイツの事など考えなくてもすむのに。



晴れた空を忌々しく思いながら、飛影は机に視線を落とした。






バレンタイン当日。
飛影にとっては非常に煩わしい日となった。
直接手渡してくる勇気のある女生徒はいないものの、席に着けば勝手に入れられたチョコレートらしきもの。
体育の授業の隙に教室に忍び込み机の上に置いている女生徒までいた。

甘いものは嫌いではないが、こういったイベントや恋愛事に興味もない飛影は溜め息しか出ない。
羨むクラスメイトを尻目に、そしてクラスの女子の目を気にもせず、飛影はその贈り物を纏めて教室の後ろにあるロッカーの上に放り投げた。

そして、教室を出れば話があると声を掛けられ、断れば泣き出す始末。

全くもって女というものは面倒臭い。


面倒臭い…のに…。



「あ…飛影先輩…。」

どうして、来てしまったんだ。
幽助にからかわれないよう、こっそりと教室を出てまで。


「嬉しいです。今日こそ…来てくれないかと…思ったので…。」
一見、明るい可愛らしい笑顔に見えるが、先程までは本当に諦めていたのだろう。
陰りを残したまま。


また、だ。
また、こんな顔をする。だから、来たくなかったのに。
どうして…。
「別に今日がどうとかじゃない。たまたまだ。」
訳の判らない苛立ちが、口調を強めた。


そんな飛影の苛立ちだけが蔵馬に伝わり、申し訳なさそうに例の紙袋を差し出す。
「じゃあ…やっぱり、これはダメですか…。」

三度目の正直を期待している…そんな顔ではなかった。
伝わるのは…直向きで、必死な、恋心。



いつものように、言えば良い。「いらん」と。
言ったところでこいつは変わらない。
晴れた日にはいつもここにいる。
俺を待っている。

あの笑顔で。



ただ、今この瞬間、陰るだけ…
「腹が減った。」

「え?」

「だから、腹が、減ったと、言ってる。」
出てきた言葉は、あまりに可笑しなものだった。
さっき、お昼を食べたばかりなのだ。
減ってるわけがない。

そんなことは蔵馬だって判っている。

でももう、後には引けず…。
「お前、食うもん持ってないか?」
飛影は両手をポケットに突っ込み顔を背け小声で続けた。

「あ、の…チョコレート…なら。」
信じられない、そんな顔。
震える手で恐る恐る紙袋を差し出しす。


「それで良い。寄越せ。」

「…!!」
その言葉に蔵馬の顔に大輪の花が咲いた。

判っていたが、あまりに恥ずかしくて蔵馬の顔を見ることが出来ない。
飛影は足早にベンチへと向かい、強く腰を掛けた。
そして感情を読み取られないよう鋭い視線を蔵馬に向け、
「腹が減ったから、食うんだからな!」
と、荒げて言い放った。

「はい!!」
怒鳴ったにも関わらずキラキラした笑顔を向け近付いてくる蔵馬。
足取りは今にも浮かび上がりそうなほど弾んでいる。

そんな蔵馬に差し出される贈り物を、飛影は視線を逸らし黙って受け取った。

中には可愛くラッピングされた小さな箱。リボンには小さなバラの造花が添えられ、いかにも蔵馬らしい…と、そんなことまで思ってしまった。

くすぐったくて落ち着かなくて…
こんな自分はイライラするのに、でもやっぱり嫌じゃない。

この気持ちは一体何なのか。

考えればすぐに出そうなその答えを、やはり導き出したくはなくて。

飛影は半ば強引にチョコレートと一緒に飲み込んだ。


そんないつにも増して無愛想で無口な飛影の隣で、蔵馬の笑顔はこの日陰ることはなかった。






その日の道場からの帰り、立ち寄ったコンビニのある通りで、いつもは気にも止めず通りすぎる店の前に飛影は一人立ち止まっていた。
ショーウィンドウに並べられたキラキラしたアクセサリーと共に、そっと置かれた小さな薔薇の飾りの髪留め。

派手ではない控えめな可愛らしさが、蔵馬を思い出させた。


バレンタインの後にはホワイトデーがあることは、もちろん判っている。

判っているが、自分は渡す気など毛頭ない。
蔵馬だって、そんなものは期待してないはず…


だけど…

もし渡したら…蔵馬はどんな顔をするのか。


少しだけ、見てみたいような。
そんな気がして。


店内から出てきた客の女の子達がその考えを遮断するまで、飛影はそれを見詰め続けた。




そして、

あのとき見てみたいと思った蔵馬の顔は、三年後の今、目の前に。


「飛影、ありがとう~!!」
ホワイトデー、飛影の部屋で渡された二つの贈り物を手に、蔵馬は満面の笑みを見せる。

「二つも?」

「一つは…三年前の…分…。」
ばつが悪そうに瞳を逸らして答える飛影。
「もぅ…気にしなくても良いのに…。」
予想通りの蔵馬の台詞に思わず零れる、苦笑い。

「でも嬉しい!ありがとう!!」
後ろめたさは拭えないが、素直に喜ぶ蔵馬の姿が心を少し軽くさせた。


「開けても良い?こっちが三年前の分?」
小さく頷いた飛影を確認して、蔵馬は包みを開けた。
子供のように瞳を輝かせる様子に、僅かな不安を募らせる。

だってそのプレゼントは…

「…要らなかったら、捨てていぞ…。」

「何言ってるの…そんなワケ…」

言いながら出された中身は、可愛らしいピンクの薔薇の髪留め。

それは、高校生の自分には少し子供っぽいようにも見えた。

途端に脳裏に浮かんできたのは、中学生の飛影の姿。


これは…
あの頃の自分への贈り物だ。

『先輩』が、私に。



蔵馬はその小さな薔薇をそっと頭に乗せた。
そして
「先輩…。」
あの頃の飛影に呼び掛ける。

「な、んだ…いきなり…。」
突然の懐かしい呼び名に戸惑いを隠せない。

「先輩。」


あぁそうか…。
こいつは今、あの頃の俺に…。


「飛影先輩、有難うございます。」

「あぁ…。」
蔵馬の優しさが素直に嬉しくて、飛影の顔も綻ぶ。

あまりに幼く、情けなかった中学時代。
何も出来なくて、肝心なことは何も言えなかった。

少しでも返せてるだろうか。
俺に向けられていた蔵馬の想いの分を。



「…私に…似合ってます?」

「あぁ、似合ってる…。」

恥ずかしそうに答えてくれる今の飛影に三年前の姿を重ね、蔵馬は愛おしそうに微笑んだ。

きっと、あの頃も飛影は今と同じくらい自分を想ってくれていた。
上手く出せなかっただけ。

今も全部出してくれる訳じゃないけど…。
気持ちは充分過ぎるほど伝わってくる。
だから、自分は飛影の分もたくさん言葉で伝えよう。

「飛影…大好き!」


大人びた笑顔を見せる蔵馬の髪の上で、小さなバラが無邪気に光る。


飛影はそのバラをそっと包み込んで引き寄せた。

二度と傷付けることの無いよう、優しく。





end





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


お疲れ様でした~(*^-^*)

い、いかがでしたでしょうか~💦(*uдu)φモジモジ

私と致しましてはですね、本当に難しかったのですが…高校生の二人を少し登場させられてちょっと楽しかったり…(*^ω^*)
飛影くんの成長が少ーーーしお見せできたかなぁ…なんて…💦


うん、楽しかったです!


創作というものはどんなものでも難しくて大変なものだとは思いますが、出来上がったときの嬉しさは堪らないですね!✧*。
これがあるから、きっとどんなに難しくても下手っぴでも、また作ってしまうのだと思います。


大好きな飛影と蔵馬のお話しを、私のネタの続く限り!!これからも作っていきたいと思います。


ここまでお読み頂きまして有難うございました!❀.(*´▽`*)❀.

また時間ができたときに挿し絵とか載せたいと思いますので、見てやってくださいませ♪


最後になりましたが、リクエストをして下さいました神楽まもるさま、有難うございました!本当に楽しく作らせて頂きました!
少しでもお気に召して頂けましたら幸せでございます(*´∀`*)♬✧*。






拍手有難うございます❀.(*´▽`*)❀.
上の二人に負けないくらい幸せです~♡♡♡
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プロフィール

舞彩

Author:舞彩
名前/舞彩(マイ)
生年月日/19××年2月3日
出身地/一番人口の少ない県
趣味/飛蔵(蔵飛も少々)のお絵描きやお話し作り。カラオケ。冬限定で編み物。ダイエット(悲しすぎる趣味)
好きなモノ/飛影と蔵馬!!
チョコレート。和菓子。メロンパン。カフェオレ。紅茶。通販雑誌(見るだけってやつ)
嫌いなモノ/カメムシ(殺虫剤で死なない恐ろしい虫!)、カエル、シイタケ、グリーンピース
幽白歴/約22年。昔と変わらず(それ以上?)今もこの作品、そして飛影と蔵馬を愛しています!

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