ぷんぷん蔵馬さん続き

俺は…本当に怒っていたんだ。



飛影と一ヶ月会えなくて…会いたくて思いきって百足に行ってみた。
何しに来たんだと、怒られるかもしれないけど…。トーナメントも近いし、久々に手合わせをしても良いなって…そう思っていた。それならきっと喜んでくれるって…。

なのに…。


一ヶ月振りに見た飛影はポットの中で、手も足も千切れて管で繋がれて、顔もようやく復元出来てる…という有り様だった。

あまりの酷い状態に頭が真っ白になった。

我を取り戻した後に俺が取った行動は、時雨を捕まえて事情を聞くことだった。


時雨が言うには、(彼も実際見たわけではないらしいのだが)何でもパトロール中に会った妖怪と揉め、怒りに任せて攻撃を仕掛け、そいつの罠にあっさりと引っ掛かった結果だという。
それも、相手は飛影より格段に低い戦闘力だったにも関わらず、らしい。




どうして…。
約束、したのに…。




魔界で一年間離れていたとき、飛影が時雨と戦って死にかけたと聞いた。
…正確には、死を選んだと。

それを聞いた俺は、居ても立っても居られず百足に潜入した。
どうしても会いたくて…。
そして想いを伝えたくて。


俺の言葉に酷く驚いた様子だったけど…貴方は言ってくれたじゃないか…。

「欲しいものが手に入ったから、もう死に急ぐような真似はしない。」
と。




哀しみと、訳のわからない怒りが込み上げた。


本当に暫くは口もききたくないと思って…これ見よがしに風華円舞陣を発動して挑発的な態度を取った。
何故俺が怒っているのか、きっと判っていない飛影に理由をぶちまけて、立ち去ろうと思っていたのに…。


彼の口から出たのは…滅多に聞けない素直な謝罪、そして


「俺は…顔が…見たいんだが…」



一気に俺を有頂天にさせるほどの優しい殺し文句だった。



狡いよ…そんな言い方。

そんな風に言われたら…。



今貴方がどんな顔してるのか、見たくなるじゃないか…。



欲求に勝てなくて、ゆっくり振り向こうとした、そのとき…


「その辺で許してやれ。」

すでに許してしまいそうになっているなどと思っていなかった女帝から声を掛けられた。

「躯…。」
突然の魔界の大物の登場に、僅かながら緊張が走る。

「久し振りだな、狐。まぁそう嫌な顔をするな。飛影、お前もだ。」

「うるさいぞ躯!何しに来やがった!!」

「ん~?可愛い部下を助けに、な。」
そう楽しそうに言う躯の顔は、姉のような母親のような…そんなどこか優しい顔をしている。
この柔らかな顔を誤解して何度嫉妬した事だろう。

「いらん世話だ!」
そんな母の思いを無下にするのはどこの世界の息子も同じようだ。

「まぁそう言うな。おい、狐、何故こいつが無茶な戦いをしたか知ってるか?」

「…え?」

何故…。
それは俺も気にはなったが、誰も教えてくれなかった。

「こいつは一緒にいた部下には口止めしてたみたいだがな、俺には無駄なことだ。ポットにいる間に記憶を見てやった。」

「んな!?また貴様勝手に!!」
声を荒げる飛影を無視して躯の話は続く。
「こいつを重傷にした相手は、狐、お前の知り合いらしいぞ。」

「え…?」


「きっ…貴様っ!黙れ!!」
耐えられなくなった飛影が躯に襲いかかる。目に見えない早さで剣を振るが、そこはさすがお母さん。見事な身のこなしで息子の攻撃を交わし話を続ける。


「名は確か…『鷸(しぎ)』とか言ったか?」

あぁ、そんな奴もいたな…。
顔も思い出せない、そんな程度の大昔の知り合いだ。

「お前たちの仲を知っているんだろうな。お前とその昔一夜を共にしたときの話を事細かに話して聞かせたらしい。それで我を忘れて突っ込んだようだぜ。」

「くっ…!!黙れ!!いい加減にしろ!!」
正に今、我を忘れるほど怒りまくって攻撃している飛影。どうにか躯の口を塞ぎたくて必死だ。
もっと話しを聞きたい俺は今回は彼を応援できない。

「こいつが意識を手放す間際、何を思ったと思う?
激しい後悔と自分への怒り…その先にあったのは、心配そうに自分を見詰めるお前の顔だ。」


とうとう躯は飛影を地面に叩き付け背中を片足で押さえ付けた。
飛影はどうにか躯の脚をはね除けようともがくが、彼の身体と地面を貼り付けさせるその細い脚はびくともしない。

怒りを露にする飛影とは対照的に、俺の心は歓喜が支配してきている。




「なぁ狐、見ての通りこいつは俺らに比べたらまだまだ子供だ。そんな子供にお前は惚れたんだ。お前が多目に見てやらなくてどうする。」

涼しい顔で飛影を押さえ付けながら俺を見詰め、窘めるように話す躯。
「それに、こいつはそこまでバカじゃない。あの時の後悔と怒りは相当なものだっだ。もうあんな馬鹿な真似はしないさ。なぁ、飛影?」
「う…うるさい!!早く退けろ!!」
笑いながら親バカとも言える言葉を放つ躯に、顔を赤くして怒鳴り付ける飛影。

そんな、ちょっとみっともない姿の飛影がなんだか可愛く見え…。

顔が緩むと同時に恥ずかしさが襲ってきた。
馬鹿馬鹿しい恋人とのやり取りを母親に全て覗かれたような気分…。(実際に覗かれたのだが…。)

思わず顔を反らす。



そんな俺の態度に躯が小さく笑ったのが判った。

「…どうやら機嫌は直ったようだな。」
俺の心情を見透かしたようにそう呟くと、やっと飛影を押さえている脚を退けた。
途端に素早く立ち上がり間合いを取る飛影。彼はまだ臨戦態勢のようだ。
今にも黒龍を召喚する勢いで躯を睨み付ける。

「止めとけ、飛影。そんなもん俺には効かん。それに…せっかく愛しの狐の機嫌直ったのに冬眠するつもりか?」
気付いた躯があっさり制止をし、
「まだ抽選まで時間がある。俺は消えてやるからそれまでよろしくやってろ。」
余計な一言を添え、去っていった。




「くそっあのババア…余計なことをペラペラと…。」
躯が去った方を見ながら剣を鞘に仕舞い悪態を吐く飛影。



その後ろ姿が堪らなく愛しく見えた。


無計画に突っ込んだのはやっぱり頂けないが…その理由がまさか嫉妬だったなんて。

大昔の自分の節操の無い行いを後悔しつつも、嬉しさは拭えない。


気付けば飛影の首に腕を巻き付けていた。



「ばか…。そんな事の為に…命を危険に曝して…。」
出てきた声は自分でも驚くくらい甘えた声。

その声で俺の気持ちが判ってしまったのか、飛影を取り巻いていた怒りの妖気があっという間に消え失せた。
「機嫌…直ったか…?」
飛影の声も酷く優しくて…。

「直ってないよ…。無駄に死にかけたことはまだ怒ってるんだからね。」

回した腕に力が入る。

「そうか…。」

「そうだよ。だから、まだ顔は…見せてあげない…。もう少し、このまま…。」


二ヶ月分の寂しさと、怒りを込めて…きつくきつく飛影にしがみつく。

そんな、言葉とは裏腹な態度を取る俺に、飛影がふっと笑い…俺の手をそっと握り締めた。






おしまい(*^-^*)




長々と失礼しました~。
ここまで長くする予定はなかったのですが…。あれこれ考えてるうちにだらだらと…。


ここまでお読み頂き、ありがとうございましたm(*-ω-)m





捕捉落書き…

「おい、もう良いだろ…顔を見せろ。」


「もう、一度…約束してくれたら…良いよ。」

「約束?」

「もう、二度と無茶な戦い方はしないでね。トーナメントでも、だよ。」

「よく言うぜ…。いつもお前のがボロボロになるくせに…。」

「俺は!それでもちゃんと慎重に、相手を見極めて戦ってますよ。貴方みたいに無茶してる訳じゃ…。貴方と付き合ってからは特に…常に生き残ることを考えてます!」

「そうか…。」

「約束…してくれます?」

「あぁ、判った。」

「絶対だよ?」

「お前を残して死ねるか。」

「うん…。」

「だから顔見せろ。見せないならこのまま俺の部屋に連れてくぞ。じっくり見てやる。

「もう…。何言ってるの…。クスクス

「お前ら…どうにかしろとは言ったけど…。そこまでしろとはいってねーぞコラ!」



お粗末様でした☆








コメント御礼

☆ゆきさま

飛蔵deアンパンマンへのコメント有難うございます!!
楽しんで頂けたようで、嬉しい限りです~ (p*''v`*q)
私も何気にドキンちゃん躯がはまり役かな…と思っております(笑)あの威張りっぷりが♪でもそうなるとしょくぱんまんが悩むところですが…(^_^;)
う~ん…(´-ω-`)

楽しくなってきたのでまた描こうかなとおもっております♪ゆきさまのお言葉で新たな世界が開きました(^ω^)
有難うございました!
ゆきさまのイラストも見てみたいです!ぜひ!飛蔵へも挑戦して下さいませ~(*^-^*)



☆はるさま

コメント有難うございます (p*''∀`*q)
ぷんぷん蔵馬さん、お気に召して頂けました?
カッコ良く描こうと頑張ってみたのでそう言って頂けるととても嬉しいです!
私は蔵飛も好きなので、時々あんな感じの絵も描いてみたくなるんですよね (*''∀''*)今回はあくまで受けですが☆

そう!そして本当に幽白は男前多いですよね!
若様も陣も凍矢も、最近になって初めて描きましたがホントに楽しくて…。改めて素敵な作品だと思いました~♪






拍手有難うございます (。>∀<。)
幸せいっぱいです!!
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プロフィール

舞彩

Author:舞彩
名前/舞彩(マイ)
生年月日/19××年2月3日
出身地/一番人口の少ない県
趣味/飛蔵(蔵飛も少々)のお絵描きやお話し作り。カラオケ。冬限定で編み物。ダイエット(悲しすぎる趣味)
好きなモノ/飛影と蔵馬!!
チョコレート。和菓子。メロンパン。カフェオレ。紅茶。通販雑誌(見るだけってやつ)
嫌いなモノ/カメムシ(殺虫剤で死なない恐ろしい虫!)、カエル、シイタケ、グリーンピース
幽白歴/約22年。昔と変わらず(それ以上?)今もこの作品、そして飛影と蔵馬を愛しています!

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